2020年11月01日

土壇場を乗り切る力〜ハートフルネス出版に寄せて

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(ある地方都市の駅前並木の今日の色づき)

大宮駅の新幹線に乗り換える途中のエキナカ書店のビジネス書コーナーで、新刊の『スタンフォードの心理学授業 ハートフルネス』(スティーヴン・マーフィー重松著:大和書房)を見つけた。自分が翻訳した本が、そのように一般的な場で見られるのはうれしいことだ。ブランドは東大からスタンフォードやハーバードに移っている。ぼくにとってはどうでもいい別世界の出来事だが、本は売れて欲しい。エリート大学名を借りるにしても。

タイトルがどうであれ、内容は超お勧めだ。多くの手に渡るよう願いを込めて本作りをしている。ぼくは自分が納得いく内容でなければ翻訳しない。おめでたいことが言っていられるのも、ほかに数種の仕事を掛け持ちしているからなのだが。気が進まない仕事に時間を費やせる歳でもない。これからはより集中していく。

著者のスティーヴンさんとのオンラインでの出版記念対談イベントが大盛況で、本のタイトルの通りとてもなごやかなひとときになった。今もハートに温かい灯がともっているのを感じる。多くの方たちとよき思いを共有できることは、喜びだ。そういう場を支える仲間であるZen2.0の三木さんや宍戸さん、スティーヴンさんのパートナーのちなさんも含めて、ハートフルなコミュニティができていくのを感じる。

(このYou Tubeのリンクで編集された当日のイベントが観られます)
https://bit.ly/2HQGExj

今回編集にも関わってくれた妻は、ヨガ教室の時間に重なり顔を出せなかったが、この半年のコロナと翻訳を通して支えてくれた。息子は今日早朝に家を出るぼくを、わざわざ早起きで見送ってくれた。寝ている妻にじゃまされず、オンラインゲームに取り付きたいだけなのかもしれないが(笑)。そうとしても、ハートが満たされていれば、人はたいていのことは乗り越えていける。困難だった翻訳作業もその証だ。この半年のぼくのエネルギー源は、多くの人の「温情」であった。

強いハートの絆があれば、何でも可能になるという良い例が、オンライン対談中のトラブルだった。スティーヴンさんのコンピュータの調子がおかしくなり、提示中のスライドが固まってしまったのだ。対談のために控えていたぼくが、急遽引き継いでその間に話して埋めたが、即座にそれが可能になったのは、あらかじめ出来上がっていた温かな場の雰囲気(オンラインでもそれは可能だ)と、主催者はじめ、登壇者の誰もあわてていなかったという事実だった。さすが瞑想を実践する仲間である。

土壇場で力が発揮できる条件は、まず安心の基盤になる場や人との絆があること。さらには「大いなる存在(神など)」とのつながりを感じることである。個の力は弱い。しかし大きなエネルギーにつながれば、盤石の力が出せる。そのとき個人的な都合は後退し、より大きな益のために働くことができるだろう。なぜなら、自分を動かす力が我ではなく無我(すべてとのつながり)だからだ。

その力につながるためにも、呼吸があり、身体感覚がある。追い詰められた瞬間に、思考から意識を呼吸に移すこと、そして身体感覚の観察を行うこと。数秒で十分だ。モードが変わる。無我につながり、エネルギーが流れ込む。そのモードに速やかに移るためには、普段からの練習が必要だ。感覚的なコツがつかめれば、いざというときにスイッチを入れることができる。マインドフルネス・スイッチと言ってもいい。

自我とは信用ならないものだ。それに頼っていれば年中判断を間違う。「うまくやらねばならない」という思いは代表的なものだ。うまくやろうとするから、うまくいかなくなる。よく見つめ、感じ、耳を傾け、「聞こえてきた声」にゆだね、やるべきことを即実行する。そこに「私」はいない。個としては体があるだけだ。

「ハートフルネス」の本の中に、「ディスオリエンテッド・ディレンマ」という言葉がでてくる。突発的な状況の渦中で、方向性を失い、板挟みになることだ。奇しくもオンラインの対談の最中のトラブルは、その体験を参加者に提供した。何という必然だろう(笑)。

そのとき思考は役に立たない。その場にとどまり、呼吸に戻り、感じる。よく見つめ、耳を傾け、やるべきことがわかったら即動く。誰にもその能力は備わって
いる。隠れているだけだ。その能力を見いだす秘訣は「つながること」〜呼吸と、身体と、今ここと、仲間と、大いなる存在と。本書でEI(感情的知性)と表されるそれとも関係がある。

そろそろ終点が近づいた。パソコンを閉じ、教会に向かってぼくは歩き出す。
(両毛線の車中で書きました。あ、赤城山が見えてきた!)
posted by ダー at 20:21| Comment(0) | スピリチュアル・瞑想・心 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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