2020年09月27日

超凡人として生きるコツ

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(目黒区八雲4丁目路上にて亡き祖父と〜昭和33年頃)

このタイトルで一冊書けそうな気がしてきた。そういう99.99%の人に向けて贈る。もちろんぼく自身がそうだから。

長年何のとりえもないと思って生きてきた。自分ひとりがいたところで世の中が変わるわけでもないし、一部の優秀な人だけに存在価値があるのだと思っていた時期が(とくに鬱のとき)あった。まわりからの刷り込みで、それを鵜呑みにしていただけだったのだが。

そうすると、存在価値があると誰かが定義したところの、ある一部分の人間だけに生きる意味があり、他の大部分はそれに従うだけということになる。そうして、独裁国家の支配や虐殺も行われてきた。いわゆる優生思想だ。ヒトラーのドイツだけではなくて、最近日本でもそれが目立ってきたような気がする。

それはそうとして、役立たずの側になったときには、この社会は大変生きづらい場所になる。ぼくらは、資本主義社会の中で育ち、目に見える実績を示すべく努力するよう教えられた。つまり「何者か」になるべく背中を押され続けてきたのだ。個性を発揮し、得意科目を作り、人より秀でる何かを持ち、これなら負けないという仕事に就く努力を強制されてきた。

だからこそ、線路から外れると苦しいのだ。中年に至っても何者にもなれなかったぼくは、若いころからそんな気持ちを散々舐めてきた。そこで「逆切れ」し、何者にもならないことを選んだ。社会に属さないことである。自分を消し、目立たないようにするのだ。まずは就職しないことにした。そのうち正職員としてはどこからも相手にされない年齢になっていく。

ぼくにはこれといった才能がないし、長年ひとつのことに努力を注いだこともない。いわゆる専門的な力量や知識はつかず、努力しないで怠けてきた凡人だ。そのうえ躁鬱という病をもらったので、いやなことを無理して続けると発病してしまう。ぼくにとって社会適応の努力はすべて再発によって振出しに戻ってきた。

そこで、追い詰められてまったく逆の発想をしてみることにした。「いやなことは一切やらない」ことだ。そのあげく食えなくなっても(本当に食えずに断食を続けたこともある)、そっちの方がましだと思った。やれない、嫌だということを突き詰めていくと、残ったものが見えてくる。それは、「人が本当にぼくを認めて頼んでくれたものならやれる」ということだった。大逆転だ。

人はぼくのことをずっとよくわかっている、ぼくはそう思う。ぼくが思う自分のやりたいことなんてあてにならない。自分に裏切られ続けてきたのだから。そこで、人の提案になら乗ってみることにした。このようなぼくにも、ものを頼む人が現れた。頼まれると嫌とは言えない弱点が、ぼくの強みだ。

信用されたからには必死でやらねばならない。そこだけがなぜか、力を注げるところなのだ。というか、「できます」といった以上、辻褄を合わせねばならない。ぼくは誠実に辻褄合わせをしている。せめてお金が取れるだけのクオリティはどうしたら出せるのだろう? 学校へ行く歳でもないので、すべて独学だ。

そうして、頼まれてはこなし、頼まれてはこなす人生が始まった。まずは自然食の食品店。商売のことなんて何も知らない。でも食品は手に入るし、好きな物の仕入れはできる。

それに始まり、病院勤め、そのうち文章を書くこと、翻訳すること、大学で教え、カウンセリングをし、講座や講演を行い、最近ではオンラインでいろいろするようになった。ほとんどが人に頼まれて、ついつい「はい」と言ってしまったことだ。

不思議なことに、頼まれたことなら力を尽くせる。経験もないのに「やれます」とはずみで言った翻訳、たまたま空いた大学のポスト、呼ばれたから必死で準備して行った講演、唯一取った国家資格と当事者としての経験だけを頼りに自学で始めたカウンセリング、文章もブログを書いていて好きだから、頼まれれば雑誌にだって書く。

今日夜のオンライン瞑想会のシェアリングで、チャットにたくさん書きこまれた参加者のメッセージを次々読み上げながら、ぼくはラジオのDJみたいだなと、ちょっとカッコよく思った(笑)。なんて愉快な境遇なんだろうと。結局頼まれた諸々をこなしながら、いつの間にかそれらすべてがおもしろくてしょうがない。

自分がやりたいことがなくなったら、人にたのまれたことがやりたいことになった。「これをしなくては」が、ぼくにはない。目の前の仕事を誠実に行い、人に喜んでもらうことがすべてである。それなら、才能がない超凡人のぼくにもできる気がしている。サービス精神だけは旺盛だし、喜んでもらえるなら何でもいいのである。そこにたまたま仕事があったというのに過ぎない。

posted by ダー at 23:33| Comment(0) | スピリチュアル・瞑想・心 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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