2019年08月09日

バリ島の浜辺で絶望とマインドフルネスについて考える

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バリ島西向きの海岸にて。外国人向けの典型的なリゾート地で、息子のリクエストで、日本より高くて質のよくない寿司プレートを波の音を聴きながら昼食にする。砂浜でもwifiが入るところがすごい。南半球からの旅行者たちが、少しでも太陽を浴びようと無防備に肌をさらしている。ここは遠浅だが波は荒くて、泳ぐよりサーファーたちの天下だ。

海を眺めながら、友人がリンクしていた基督教独立学園高校前校長安積力也先生のリンク記事を読んで、深く共感するものがあり、日没までの間に時間があるから書いた。
https://bit.ly/33lZQJd

今までにも何度か書いてきたことだが、マインドフルネス(深い気づきの瞑想)とは自分の能力を開発したり、この世で成功するためのものではない。とはいえ世捨て人になる勧めでもない。俗世界のビジネスにおいても、「何のための成功か」という大きな問いがここにある。何のために社会で生きるのかという、倫理的な命題に関わることだ。

高級リゾートという非日常的で隔離された環境にいると、かえって社会が遠目に俯瞰できる気がする。ここでぼくたちは、地元の人びとが一年かかっても稼ぎきれない金を一回の滞在で落とす。そんなぼくらも、日常では汲々として暮らしている。どこまで行っても、食ったり食われたりの世の中だ。

休暇が終われば立場が変わり、また何か大きなものに使われる日常に戻る。ときにはそこから出なければ、自分がどんなマトリックスの中に居るのかわからない。日常の中でも深く見つめるテーマを持つこと、それが絶望した切りで終わらぬための鍵であり、困難な現代を生き抜けるかどうかの分かれ目になる。

絶望とは、主観的な感情である。ぼくは今まで何度も危機的な状況の中で絶望し、具体的には自殺を試みた。幸いに今生きて思うのは、いのちが与えられてあるという真実のかけがえのなさだ。絶望しないで済むには(または絶望から生還するためには)、自分の限界を知ることが必要だ。限界がわかるためには、目覚めていなくてはならない。(絶望は眠りの中でしか永続しない)

目覚めはある場合、絶望を通して起こることがある。とはいえ絶望は必須ではない。肝心なのは、自我が砕かれ、二度目の誕生を迎えることだから。人は、一度は生きながら死ななければならない。その機会をもたらすため、限界は訪れる。ただ、その瞬間を正確に知るための感性は磨いておかねばならない。

限界がわからなければ(その訪れを見過ごせば)、欲は尽きない。追及には果てがない。絶望とは、そうと知らずにネガティブな感情で自らの首を絞める状態である。果てのない欲が心を追い詰める。限界がわかれば諦めがつく。明らかに知れば(明らめれば)その次がある。死を目前にしても、往生際が潔くなるはずだ。死は終わりではないと知っているから。

限界の向こうには、サレンダー(ゆだね)がある。自分がどれだけ小さいか自覚すれば、力尽きることができる。そのとき、ゆるされる。自覚とゆるしは同時に起こる。なぜなら自覚とは、みずからの器を知り、「ゆるされていることを知る」のと同義だからだ。それを宗教用語では信仰という。そこまでは敷居が高いという人でも、「そのままでいいよ」と誰かに言われれば安心するだろう。

ぼくらの存在はじつは最初から保証付きだ。そうとは知らずに人は無駄な方向にあがく。溺死から救われようと、かえって沖へ向かって泳ぐように。安心がここにあるのに、なぜわざわざ怯えようとするのだろう。青年たちが「社会が怖い」「親が怖い」と言うとき、ぼくら大人がどのような覚悟で生きているのかが問われる。大人こそが、怯えているものの正体を見ようとしていないのだから。

明後日から、そういう社会に帰っていく覚悟として記しておこうと思った。陽が落ちて波は静か。ずいぶん人が増えて来た。これから一晩中踊りあかすパーティータイムだ。ぼくら家族連れは、夕食を食べてからふたたびバイク3人乗りで帰ることにする。

posted by ダー at 23:19| Comment(1) | スピリチュアル・瞑想・心 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
またまた、コメントいたします。キルケゴールの「死に至る病」は絶望について考察した本です。ただ、キリスト教社会での絶望ですが。世俗で生きることと、神を信じて委ねることとを対比していたと思います(読んだのがしばらく前なので)。一般の日本では、世俗での絶望ということになるでしょう。この辺を論じてゆくと面白いと思います。それでは失礼いたします。
Posted by ゆた at 2019年09月12日 14:00
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